中々、来ないヒロに苛立ちを覚えていた。
ふと窓の向こうを見ると、エドのヘリが飛んで行くのが見える。
まさか、あいつ等ー!
すぐにでも捕まえたいが、自分のジェットは修理中だ。
くそう、こうなればヘリでも構わん。
遠ざかっていくヘリしか見えていなかった。
シュンッと風が空を切る。
が、色んな音が入り混じっている為、気が付いていなかった。
誰もが、自分のジェットを修理や点検をしている。その為、自分で格納庫に赴きヘリを物色していた。
音もなく、血に飢えたドーベルマンが静かにやって来る。
屋敷中のドーベルマンが何者かに操られているかのように、複数ある格納庫の一ヶ所に向かう。
ヘリを動かすことが出来ずイラつきながら外に出た。
すると、ドーベルマンの群れに気づき、「あっちへ行け」と指示を出すが動かない。
こっちに向かってる。
ドーベルマンは、主人が誰なのか分からないみたいだ。
私を囲むようにジリジリと距離を詰めてくる。
数歩で近付くという時、ドーベルマンは一斉に襲ってきた。
ワルサーしか持っていなかった。
すぐに弾切れになったワルサーに弾を詰めようと路地に隠れるが、ド―ベルマンは縦一列になって動いている。
すると背中の方から何か異音が聞こえる。
パチパチ……と音がする方に振り向くと、誰かが自分にくっ付いてこようとする。
「貴様っ、私を誰だと思ってる! 離れろっ!」
「ふふ……。撃ちたければ、撃てばいい」
よくよく見るとアランなのか。
「貴様、どうやってここに……」
「蛇の道は蛇って言うだろ」
私に近づいてこようとしている奴の身体から、異音が聞こえてくる。
パチパチパチパチ……と、音は大きくなってくる。
風に煽られ、目の前の奴の服は捲られ中が見える。
そいつの身体には、ダイナマイトが点火していて火花を散らしているのが見える。
そいつが口を開いてきた。
「マルク。貴様も『無』に還れ」
そいつが放った言葉が言い終わると同時に爆発が起きた。
ドンッ!
その為、「貴様、誰に向かっての物言いだ。マルク様とか、ジュニアとか呼ぶべきものだろう」と言いたかったのに言えずじまいだった。
その代り、一瞬で身体が熱くなり意識が無くなった。