同じ人を好きになったアイツと俺

13

真と別れ、再会するまでのことを思い返していた。

中学は卒業したものの、そこからは別々に親戚の家に引き取られた。兄の真は全寮制の高校に進学したらしい。

俺なんて進学するつもりなかったので、この家に戻ってきた。戻りたいと言えば、それならとすぐに手を離してくれたのは、厄介者だと思われていたのだろうな。

真とは違い俺は貯金していたので、それを使いながら生活していた。いつかは帰ってくるだろうと思って真の帰りを待っていた。

好きな小説を書いて雑誌に応募する。そんな日々を過ごしていた。貯金も底をつきそうになった頃、日下さんから電話があった。

「うちのとこで仕事しない?」

それをきっかけに書きためていたのを修正しながら本として出版することにした。デビュー作はあまり売れなかったけど、2冊目は重版がかかり、3冊目以降はさらに重版が重なっていく。

本名でなくペンネームで仕事をしていた。

身長もあるが体格も良かったためプロフィールも盛られる。

たとえ中卒でも20歳を過ぎると保証人とかは要らないので色々とできる。だからそれまでは我慢だと思っていた。

20歳を過ぎて最初にしたことは、広すぎる敷地と家を狭めて売ったことだ。手入れもそうだが維持費が凄く掛かっていたので、それがなくなると精神的に余裕が持てるようになった。

売りに出すと、すぐ売れた。そのお金は貯金している。

日下さんから電話を貰ってから4年後。もう少しで21歳になろうとしていた頃、電話を貰った。

「修先生と同じ顔をしている人がいてね。うちのメインモデルになったの」

「どんな方ですか?」

仕事の話ではなく雑談だったので嬉しいが緊張していた。

「名前は瀬名マコト。瀬名川の川の字を取った瀬名で、真実の真でマコトと読むの。修先生の本名を知らない人だと分からないけれど。親戚か何かかな?」

思わず呟いていた。

「まさか、真……」

沈黙をどう取ったのか日下さんは聞いてくる。

「知ってる?」

「まさかとは思うけれど、双子の兄かも?」

「双子かあ。どおりで似てるなと思ったんだよね」

あっちの都合もあり、スケジュールが決まった。その日は誕生日の前日だ。

「ちょ、ちょっと待って」

「なに?」

「え、さっきなんだって……」

「会って話をしましょ、という話」

「ええー」

大丈夫よと言ってくるが、大丈夫じゃないよ。何を話せば良いのだろうと焦っていたら日下さんの笑い声が聞こえてきた。

「最初から2人きりにさせる気ないから」

その言葉に安心したのは言うまでも無い。その日下さんのお膳立てで、話し合いの場が設けられた。

「大丈夫よ」

「なにが?」

「私もいるんだし。でも頑張ってね」

「日下さーん……」

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