同じ人を好きになったアイツと俺

14

日下さんと2人でレストランに入っていく。

デートでなく、真に会うんだと思っておこう。でないと緊張してしまう。

そんな俺を見て日下さんはクスクスと笑ってくれる。

「あ、もう居る。お疲れ-」

「日下さん。お疲れ様です。」

サラサラ髪のイケメン男子がいた。

「初めまして、マコトです。」

「は、初めまして。修です。」

マコトさんの笑顔は目に毒だ。俺が女子なら……と思って隣に目をやると日下さんは席に座ろうとしている。

「日下さん、逃げないでくださいよ。」

「大丈夫よ。食事を注文するから2人とも座って。」

店員を呼び注文する。

真っ先に声を掛けたのはマコトさんだった。

「嬉しいな。憧れの修先生と、ご一緒できて光栄です。」

これは誰だ。俺の知っている真でないことはたしかだ。まあ、中学を卒業してから会ってないからなあ。6年も会ってないと、こうも変わるものなのか。

ああ、なにも思い浮かばないや。質問を忘れてしまった事を悔やみながら、なにか話は無いかと焦っていた。

「えっと、マコトさんは学生ですか?」

「大学生です。」

「何年生ですか?」

「3年ですが、何か?」

「それなら来年は就職かモデルか悩むところですね。」

「あー、そういうこと。サラリーマンしようかなと思っているんですよ。」

日下さんが割って入ってきた。

「モデルは続けないの?」

「迷ってます。」

するとタイミングよく料理が運ばれてきた。食べている時は話をしなくてもいいから安心だと思っていたのに、声を掛けられる。

「修先生は、飲まれるのですね。」

「え……、ああ、お酒。はい、ビールでもなんでも飲みます。」

「いいなあ。日下さん、俺も良いですか?」

日下さんは一言だった。

「飲めないくせに。」

身も蓋もない言葉だったけれど、マコトさんはジュースを頼んでいる。それを見て思わず笑っていた。

「あの……」

「あ、いや、その。ごめんなさい。」

なんだかジュースを飲んでいるマコトさんを見て、力が抜けていくのを感じていた。

食事が終わりデザートを、それぞれが注文していた。日下さんはトイレに行ってしまったし、何を話そうかと思っていたら、忘れていた質問3つのうち1つを思い出した。

「あの……、マコトさんの本を書きたいのでインタビューしてもいいですか?」

「俺の? いや、でも……」

「困るようなことでもありますか?」

「照れます。」

「可愛いなあ。」

「修先生、どこかでお会いしたことありますか?」

「ナンパされてるのかな。」
「はは。初めて会うのだけど、どことなく親しみがあって。」

「それは嬉しいな。するとインタビューはOKということかな。」

「あー……」

マコトさんは考え込んでしまった。トイレから戻ってきた日下さんは、そんなマコトさんに声を掛けている。

「何を考え込んでるの?」

「修先生に」

「苛められたの?」

慌てて言っていた。

「違いますよ。インタビューしたいと言っただけです。」

「で、マコト君は何を悩んでいるの? 受けなさい。」

「ってぇ……」

ゴンとテーブルに当たった音が聞こえ、思わず言っていた。

「日下さん、力強すぎですよ。」

「インタビューして親睦深めなさい。」

そう言いながらウインクして、どこかに行こうとする。ちょっと待って、置いていかないでよと思い、追いかける。

「日下さんっ」

「兄弟の親睦、若者同士の親睦、どっちでもいいから。ね。」

そのウインクに俺はこう返していた。

「ありがとうございます。」

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