同じ人を好きになったアイツと俺

17

声が聞こえる。この声は誰だ。

「修先生」

「ん……」

身体が揺れる。

「起きてください。修先生」

「も、すこ……」

大声が聞こえてきた。

「起きろー!」

「はいっ!」

うー、眠いなあ。何なんだ。その思いが声に出ていた。

「なんだあ……」

「なんだは、こっちの台詞だっ」

「なんのことか……。あれ、マコトさん、もう起きたのですか? 早いなあ」

「なに寝ぼけて……。おさ、いや、真澄。お前、いつから知ってた?」

「は? ますみって何?」

胸ぐらを掴まれた。

「き・さ・まー……」

「こ、こわ……。マコトさん怖いです」

イケメンが怒ると怖い。しかもタイミングが良いのか悪いのか電話が鳴る。

「は、はい」

『修先生、おはようございます。山北出版の境です。3重掛かったので、ご報告の電話しました』

「3重? ありがとうございます」

電話を切ると再び掛かってくる。

「はい」

『修先生、おはようございます。JNA出版の佐々木です。依頼の件でメールしました』

「おはようございます。佐々木さん、お久しぶりですね。確認したら連絡しますね」

『よろしくお願いします』

電話を切ると、また掛かってくる。

「はい」

『修先生、おはようございます。川西出版の住田です。明日が締め切り日ですが大丈夫ですよね?』

「あー、できる限り今日中に納品します」

『お待ちしております』

マコトさんの睨み顔は普通の顔になり、胸ぐらをつかんでいた手は離れていく。

「そっか、普段から修先生呼びか。でも俺は違うからな」

「マコトさん、朝ご飯」

「飯よりもっ」

お互いのお腹が威勢良く鳴る。

「お腹空いた……。食べながら話をしましょう」

簡単で申し訳ないですと言って、炊き上がった白米と、野菜入りの具たくさん味噌汁を目の前に出す。

2人揃ってお代わりをしたほどだった。

「食ったー」

「マコトさん、吐き気は?」

「ないです。あ、それより修せ、いや真澄」

「どうして俺が”ますみ”なのですか?」

「どうしてって……」

「そんな女みたいな名前つけないでください」

すると沈黙が下りた。

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