同じ人を好きになったアイツと俺

18

どれぐらいの時間が経ったのだろう。

俯いていた真は俺の顔をまっすぐに見つめてきた。

「俺、朝は5時に起きてランニングするのが日課なんです」

ジッと見つめてくるのは、俺の返事を待っているのだろうか。当たり障りのない返事をしてやる。

「いいことですね」

「今日もしてきました」

「この辺りを?」

「はい。1時間走り、同じように走っている人がいたので世間話から、この家のことも聞きました」

またジッと見つめてくる。

「その人は……。中学を卒業したバカニートが1人暮らしして、いつの間にか敷地と家が狭くなり、そのバカニートは、それを売り金持ちになった。どのような生活をしているのか分からないけれど、そのバカニートは……。そいつの名前は……」

黙っているが、すすり泣きをしているのか、そんな感じだ。

「そいつは、瀬名川……、真澄だと……」

それは村瀬さんのことだろうか。でも、バカニートだなんて村瀬さんは言わないのだけど、おそらく、その単語は真が勝手に付けたのだろうな。

「どうして俺に何も言ってくれなかった? お前は、夕べ」

仕方ないな、村瀬さんのお喋り。

「日下さんは知っています」

「日下さんが?」

「日下さんが、俺を見つけてくれた。彼女を信じているから自分のことを話した。それだけです。他の人には話していません」

「真澄……」

そんな泣きそうな表情の犬顔はやめてくれ。

「俺は修です。小説家の修です。村瀬さんは警視庁の捜査課の課長さんで、俺が高校に通って無くても色々と面倒を見てくれた。俺が警察シリーズを書くきっかけを作ってくれた人です。その2人を悪く言うことは許しません。」

「俺が聞きたいのは、お前の本名だ。修がペンネームだというのは最初から知っている。」

「マコトさんは大学で何を専攻されているのですか?」

「マコトは芸名で本名は真だ。瀬名川真。それが本名だ。お前の双子の兄だ。」

誰が乗ってやるもんか。

「マコ、瀬名川真さん、あなたは大学で」

「俺のことはもういい。今度は、あんただ。あんたのことを知りたい。インタビューするのは俺で、お前はされる側だ。」

その言葉に思わず言っていた。

「それを言っている途中で昨日は寝落ちされたのですよね。」

「え? そうだっけ?」

頭が良いくせに、どこか抜けている。その性格は変わらないんだな。意識して名前を言ってやる。

「真さん。俺は自分のことを誰にでも話せる人間ではない。そのことだけは知って欲しいです。」

「うん。」

ちょっと待ってくださいねと言って、盆に食器を乗せキッチンに持って行く。

水とコーヒー豆をセットしていると目の前にカップが置かれる。とっても嬉しそうな声が聞こえてくる。

「俺はブラック」

「はいはい」

2人分のコーヒーを淹れるとダイニングに持って行き、話の続きだ。

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