同じ人を好きになったアイツと俺

19

なんて言えば良いのだろうか。

「真さん……」

「真で良い。」

「タメだなんて急には……」

「真澄。俺はここから残り1年半、大学へ通う。」

「あの」

「で、ここから仕事をしに行く。」

「あの」

「ここは、お前の家だろうけど、俺の家でもある。」

「あの」

「モデルのバイトも続けたいし、それには寮を出ないといけないんだよな。」

「あのぉ……」

「口出しはさせない。」

溜息をついてしまう。

「真澄。」

「勝手に決めないでください。」

「俺は、お前が」

うるさいので遮ってやる。

「俺は仕事がある。邪魔されたくない。」

「真澄……」

「それに、俺は修だ。そう呼ばない人はいらない。」

「分かった。」

何が分かったのだろうか。いやに素直だな。そう思っていたら声が掛かる。

「修先生、ありがとうございました。ご馳走になりました。」

「マコトさん?」

「でも、生きてるし元気そうだということが分かって安心したよ。これ、俺の電話とメアドを渡しておきます。それじゃ、また。」

そう言って出て行った。

それじゃ、またって言った? ということは、また来る気か。

真。本当に、お前は勝手だよな。

高校だけでなく、大学にも行けて羨ましい。俺は、お前が帰ってくるとばかり思って待っていたのに。

ベランダに寄り窓を開け放つと、思いっきり叫んでいた。

「真のバカヤロー! 勝手なことばかりして、勝手に高校や大学に行って。勝手に自分のやりたいことやって……。俺は、俺は待ってばかりで……」

そう、俺は何も言わずに勝手に思い込んでいた。

「は……。俺も勝手な奴か。親戚の家に行って、高校卒業したら帰ってくるもんだと思い込んでいたからな。バカ真……」

ふいに耳の近くで声がかかる。

「バカはそっちだろ。本当に素直じゃないんだから。」

「え、な、なんで」

「お前は昔から追い込まれないと素直にならないからなあ。」

「バカヤロー!」

「はいはい。俺が悪かったよ。」

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