同じ人を好きになったアイツと俺

20

冷めてしまったコーヒーを一気に飲み込む。

「真澄。今日、俺たちの誕生日なの覚えてる?」

「21だろ。」

「そうだよ。」

「それが何?」

「6年、いや6年と5ヶ月も離れていたんだよな。」

「しんみりとする年齢じゃないだろ。」

「そうだけど」

いきなりハグされた。

「ちょ、ちょっと」

「そんなにも離れていたのは初めてで、その間お前が何をしていたのかを色々と知りたい。教えて。」

「別に俺は」

「お兄ちゃんに甘えることをして。」

「俺は、今まで1人で……」

「うん。だから、これからは俺に頼ってくれ。」

「急にそう言われても困る。」

本当に困るんだよ。そうしたら一言だった。

「それなら、このまま抱かせて。」

まあ、それぐらいなら別に良いかと思い素直にハグされていた。

すると耳元で囁かれる。うわ、こいつ意識して低い声を出しているみたいだ。先ほどとは違って何かがクル。

「真澄。俺にとって、お前は半身で大事な奴だ。たとえバカニートと言われても俺はそう思わない。」

「真……」

「俺に、そう言ってきた奴。あいつは村瀬と言うのか。の野郎、ぶん殴ってやる。」

「バカニートって、お前が付けたのでは」

「違う! そいつだ。」

村瀬さんは絶対に言わないのだけどと思い聞いてみる。

「背の高い厳ついた奴だろ。」

「チビだった。」

「チビ?」

「そう、チビで太っていた。」

「それ、村瀬さんじゃない。違う人だ。」

「そうなの?」

誰なんだろうと思いながらベランダに出ると、向かいの家の窓を木の棒で小突く。すると、即反応があった。

「なんだ?」

「おはようございます。村瀬さん、この人知っていますか?」

「この人って……」

真を前に出してやる。

「この人です。」

二重音声で聞こえてきた。

「え、誰、その人。」

二重音声の一つである真に紹介する。

「さっき話しただろ。警視庁の村瀬さん」

「え、嘘っ。まるっきり違う人だ。」

今度は村瀬さんにだ。

「村瀬さん。この人は」

「双子の兄の真です。」

横からしゃしゃり出てきた真を睨んでやる。

「おー、君が兄ぎみか。もしかして、そこで暮らすの?」

「そうです。これからは2人で暮らしますので。」

「それは良かったね。修先生も、今度は本人に愚痴ることができるな。」

「それって何のことですか?」

すると村瀬さんはとんでもないことを言ってくれた。

「もう、酒に強くてね。愚痴る度にウイスキーやビールを2本軽く開けてくれるんだ。飲み助をどうにかして欲しかったんだよ。」

「村瀬さーん!」

真は呟いている。

「俺は昨日、何杯飲んだっけ?」

「ビール飲む前にウーロン茶飲んだでしょ。」

「うん、ビール何杯飲んだか忘れた。」

「4杯。」

「で、お前は?」

「4本。」

そう答えると、笑い声が聞こえた。

「飲み過ぎ。」

「ザルかよ。」

こう言ってやった。

「普段は飲まないから良いんです」

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