一緒に暮らし始めて、今日で丸々6年。
俺たちは27歳になった。
真は大学を卒業すると商社マンになり、俺はそのまま小説家まっしぐら。
空白の6年と5ヶ月は俺にとってハングリーな期間だった。片割れは生きていると信じていたものの、再会するとは思っても無かった。
その片割れは、俺の大好きな人と付き合っている。
日下さん。
あなたが好きです。
あなたが俺を見つけてくれた。
あの日から、ずっと。
思うだけで行動には移せないけれど、その分、片割れである真が動いている。そういえば、俺がキューピットになって2人をくっつけた、あの日。
あの日は、たしか。
「たっだいまー」
元気な声が俺を現実に引き戻してくれる。帰ってきたからと言って顔を覗かせてくる真に言ってやる。
「朝帰りするんじゃなかったのか。」
「するわけないだろ。」
大好きな人を奪われているのだけどなぜか憎めない。それは、相手が真だから。
真。俺の片割れであり勝手な奴。
お前の恋愛、いつか邪魔してやる。
小説家の観察眼を見くびるなよ!
(終わり)