同じ人を好きになったアイツと俺

9

翌日、10時前にエレベーター前に待ち合わせして6Fの大浴場へと向かう。

2人揃って受付を済ませロッカーへ向かい着替えも済ませると7Fへと続く階段を上っていく。タオルを縁に置き、2人揃って大きな目のジェットバスに入り足を伸ばす。

「んー……、気持ちいいなあ」

「あの丸い奴にも浸かる?」

「うん」

丸いジャクジーに入ると、真は言ってくる。

「その腕……」

「昨日のだよ」

「あの女、ぜってーに許さない」

あの女がつかんだ所にアザがあったのは、夕べ着替えるときに気がついたんだ。どおりで痛かったはずだよ。

真は、そのアザに唇を触れてくる。

「おい、何をして」

「お前は俺の半身だ。それを」

「そう言う台詞は日下さんに言ってやれよ」

するとバツが悪そうな表情になった。

「言えなーい」

「なんで?」

「鉄拳が飛んでくるんだもん」

その言葉に笑っていた。

「まあ、鬼の編集長だからな」

「一度、言ったことあって。その時に食らった」

「じゃあ、キスとかは」

「したくてもできないんだ。俺としては、もっと、こう……」

簡単に想像が付く。真は必死になっているのか言ってくる。

「一番最初に付き合ってくださいと告白した時はすんなりとOKくれたのだけど、今はなあ……」

「マンネリしてるとか」

「小説家のセンセー、アドバイスください」

「俺は恋愛小説家ではないけど、何があったんだ?」

「会いたいと言っても、会ってくれなくなった」

まあ、時期も忙しい時期だからなおさらだな。

「それじゃ、大阪土産だよと言って渡すのは?」

「おお、それ良い! よし、駅で買うかな」

「付き合ってどれぐらい経った?」

「んー……、7ヶ月もいってない」

「仕事で大阪に行ったからと言って渡す。だから駅で無く、お店で買う方がいいよ」

「しかし、どんな物が良いのか」

「気持ちとして500円位の食べ物と、他に何か……」

日下さんの顔を思い浮かべてるとピンときた。

「編集長、ロングヘアだから髪留めとかゴムとか良いんじゃね?」

「あ……、それならしてくれるかな」

すると立ち上がった。

「よし、そうと決まれば出るぞ!」

そう言うとさっさと出てしまった。

まあ、昨日も入ったし良いか。

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