チョコレートを食べながらポケットの中身を見ていく。
コースケは輪ゴムを指に絡ませていく。
今度は輪ゴムを使うのか。
僕は何にしようかな。
縄って何に使えるかなあと考えていると、玄関に行くには階段を下りないと行けない。ということに気が付き、縄を手すりにグルグル巻きにしていく。
短いのは階段近くの手すりに付け、段々と長いのを巻いていくが、5本目は短いのにする。
コースケが持っている縄の1本を借りると、階段の上り口に1本の横長な線にして両端を持つようにすると、コースケは分かったみたいだ。
「トモも考えるようになったな」
「誰かさんたちのお陰でね」
「やった覚えないけど」
「うん。やられた覚えはないけど、見てたから」
「なるほど、避けて通ったということか」
残っている押しピンを階段の上り口にピンを上に向けて並べ置いていく。
コースケは階段横にあるドアの前に押しピンを並べていっている。
何を思ったのか、爪楊枝を絨毯の真ん中部分、端部分、真ん中を避けての部分と交互に分けて並べていっている。僕の持っている爪楊枝も取り出しコースケの置いていない場所へ好きなように置いていく。
横置きにすると転ぶかなと思っていたら、柱に取っ手があり、そこにも置いていく。
「そろそろ来るかな」
「出口はどこ?」
「あっち」
階段の向こうにある扉の先が、出口みたいだ。
しかも、こんなことを付け加えてくれる。
「階段を下りきったら地下だから、気をつけろよ」
「めんどくさい建物だね」
「ほんと、そうだよな」
声がする。
「いたぞ」
「うげっ」
びっくりした。
つい柱の向こうに隠れてしまったが、コースケはどうしたのかな。
コースケと同じ方向に行けばよかったのかな。なんて思っていたら担がれてしまった。
「なんで」
「ほぉら、子どもは肩車をされると嬉しいだろう」
「離せー」
「暴れるなよ」
どうしたらいい?
こういう場合、いったいどうすればいいのだろう。
足に何か当たるので痛い。
そう思い、それに手をやり取り出すとオレンジジュースだった。
もったいないけれど、ごめんね。
そのオレンジジュースを開くと、その男の頭に中身を掛けてやる。
「ん……。いったい何が?」
「美味しい?」
「こんの、クソガキィ……」
振り落とされてしまった。
だけど、爪楊枝をいっぱい並べたので、開いているドアの向こうに走って行った。
声が追いかけてくる。
「待ちやがれっ」
誰が待つもんか。
そう思ったら、近くで声がした。
「一匹捕まえた」
「このクソガキ、俺の自慢の髪にジュースをつけやがって。ぶん殴ってやるっ」
「ぶん殴るのは後にしろよ」
「そったれがぁ」
冗談じゃない。
僕を抱っこしている手を齧るが離れない。
どうしよう、もう一人は怒ってやってくるし。
本当はやっちゃいけないんだよ。
分かっているんだよ。
ごめんね。
そう思うと、抱っこしている人の手を思いっきり噛みつくと手が離れるので、大事な所も齧りついてやる。
「い”っ……」
もう一人の大事な所も噛みついてやると2人とも蹲った。
「う”っ」
ごめんね。