一方、こちらはコースケ。
逃げまくっていると、途中でビッグと会ったので背中に乗せてもらい逃げ回っていた。
「このクソガキ。犬は人間を背に乗せて走り回るものじゃない」
「お前らが俺たちを拉致るからだろ」
「捕まえろー。本物はこっちだ」
「あっちは無視して構わん。こっちに集中しろっ」
いや、お前らが”あっち”と言ってる奴は2人をノシて逃げているのだけど。
まあ、いいや。
「ビッグ。思い切り走り回れっ」
「犬は馬みたいにはいかんっ」
「そぉ~れっ」
ビッグは嬉しそうに走り回っている。
人間と違って軽々と走り階段近くまで来たら、ビッグは吹き飛んだ。
「え、どうして?」
「ほーら、お坊ちゃん分かっただろ。しょせん犬は犬なんだよ」
「分かったのなら、一緒に来てもらおうか」
連中の後ろをトモが何かをやっているのが見える。
こいつらの注意は俺にしか向いてないので、トモのやることは眼中にないってことか。
トモは何をやっているんだろう。
少し見ていると分かった。
あの横繩か。
じゃ、俺がこいつらを先導すれば良いのか。
「へ、誰がおとなしくつかまるもんか」
お尻ぺんぺんと叩いて見せると、その男たちは走り寄ってくる。
とっとと奥に向かって走り抜けてやる。
だけど、爪楊枝を立てていたのを忘れていた。
「ってぇなあ」
「なんだよ、これ」
「まさか、さっきのと?」
お、1人が射程圏内に入ってきた。
すると、3人とも入ったのでトモと一緒に引っ張ってやる。
「いっ」
「この、え……」
「う、うわぁー」
ドドーンと重たい物が倒れた音がする。
3人に向かって倒れたのは獅子だった。
「お前って……」
「1人だと難しいから、あの置物は重そうだったから手伝ってもらったの」
すると、2人の男が目に飛び込んできた。
「このガキがぁ……」
「2匹とも捕まえてやる」
トモに聞いていた。
「お前、こいつらに何やったんだ?」
「んー……、大事な所を噛んだだけだよ」
「大事な所って、どこ」
だけど、ほどなくして分かった。
「ああ、2人のチンかあ」
だけど、1人は違ったみたいだ。
「さまぁ、俺の髪にジュースをつけやがって。ぶん殴ってやるっ」
その言葉で、分かった。
「あー、なるほど。そういう手があったか!」
「もう、使わさん」
その人は般若みたいな顔になった。
「逃げろー」
俺とトモは獅子に乗っかかられた3人を踏みながら階段へと走って行った。