最初は良かった。
あのコロコロ体型の奴ですら登りきろうと頑張って木登りしていたのだ。
それが、あのコロコロKが自身の重みで枝を踏み外してしまった。もう少しで中腹の小屋に着くという、そんな時だった。そいつは、自分の下に居たコロコロ2人組を道連れにしボキボキボキッと落ちていった。
「えっ?」
「う……」
「わー……」
坊ちゃんが悲鳴をあげる。
「お、お父ちゃんっ」
「こら、危ないっ」
「だって、おと、おとーちゃーん……」
そんなにも経たない内に、シーン……と静かになった。
「あ……、おと」
ギュッと腕に力を入れ、坊ちゃんを抱きしめてやる。
「お前は落とさんからな。」
「ありがと……」
そんな時、硬質な声が聞こえてきた。
「1時間でも10分でも早くテントに戻って、あの3人を助け出す。それに、今は泣く時じゃない。」
「は、はい。必ず助けます。」
そいつの指揮で中腹にある小屋に辿り着いた。
こんな所に小屋があるのが不思議だ。
入るべきか入らざるべきか誰もが迷っていた。
1人の男は小屋をじっと見ている。
他の6人は水筒に口を付けて水分補給をしている。
何を思ったのか、そいつは扉を開け中に入って行くので、残りも付いて行く。そいつは壁をじーっと眺めていると、おもむろに自分の水筒の口を開け、ある窪みに水を注いでいく。
「あ、足りない。誰か、あと2つなんですが」
「いいよ。どこに淹れれば良い?」
こことそこです。と指し示すと水を注いでいく。
途端に床の一部に裂けめが出来て、2人は飲み込まれてしまった。
「え」
「な」
「何が起きて…」
水を注いだ2人を飲み込むと、床は元通りになった。
「残り5人。」
その声に、残り4人は振り向いた。
Mr.Aは怖い顔をしている。
「最初は3人で、次は2人。今度は何人だ?」
「怖い事を言わないで下さい。」
「もし、次に消えてしまうのが私になると……」
「だから、そんな怖い事を言わないでと言ってるの!」
その2人は言い合いをしていたが、その内にMr.Aは苦笑していた。
「そうだな。取り敢えず、てっぺん目指して登るか。」
いつの間にか小屋の入り口は消えていて崖肌一面になっていた。
皆して一致団結するべき時が来た。
このメンバー編成に文句はない。10人が全員とも居なくなると大変な事になるから、せめてもの坊ちゃんだけは守れという大役を任されてしまった。
俺は言っていた。
「俺から離れるなよ。」
「お願いします……」
一緒に登り出して数分後、皆は身軽に登って行く。
しかも先頭を登っていた3人は落ちてくるし、坊ちゃんも転げ落ちてくる。坊ちゃんだけはと思い腕を伸ばして引っ張り上げてやる。
「あ、ありがとうございます。」
少し経つと3人は再び登ってきた。
「どこまで落ちたんだ?」
「さっきの小屋の所」