くそぉ、どうしてこうなった。
ここは一体、何処なんだ。
辺りを見渡すが誰も居ない。
俺、1人だけ。
その思いが声に出ていた。
「くそぉ……、絶対に生き延びてやる!」
しかも坊ちゃんの姿も見えない。
俺の隣を登っていたのに。
Mr.AとMr.TとMr.Sの3人は軽々と登っていたので、もう着いてるのかなと思ってたら叫び声が聞こえてきた。
「わぁー」
「2回目ー」
「何でー」
その軽者3人が上から落ちてきた。
俺を通り越して下に下にと落ちていく。それと同時に、ズザザッと何かが落ちてきた。
「うわわっ」
ビタンッとぶつけた音まで聞こえる。
ん、何だこれは。
「てー、危なかったあ……」
この声は、坊ちゃん。
こいつはぁ、俺の肩に乗っかる様に腰を乗せている。
肩車をしてるという状況に、しっかりと体重まで乗せてくる。
重い。
いや、身体が密着してると言うのは違う意味で良いのだが、いかんせん重い。しかも子ども体型ではなく成人体型なので、なおさら重い。
自分1人の重みだけでなく、どうして2人分の重さを支えないといけないんだ。
その坊ちゃんは動こうとしない。
くそぉ、これが崖で無く地面だったら……。
うー……。
暫らく待っていたが、動こうとしない坊ちゃんに対し言っていた。
「重い。いい加減に下りろ。」
「え?」
「え、じゃ無い。いつまで俺に肩車させる気だ。」
「ご、ごめんなさいっ。んー、何も持つ物が無い。」
「無けりゃ、そのまま貼り付いとけ。」
「ありがと。」
坊ちゃんは俺の頭の上に手を置こうとしてくるので、即座に言ってやる。
「違う。俺から離れろと言ってるんだ。」
「だって、本当に掴まるものが無いんだ。」
「お前、先に登っていっただろ。」
「そうだけど……」
「なんで落ちてくるんだ。それに重いし……」
「ごめん……」
これのどこがアスレチックなんだ。
坊ちゃんの足をどかそうとしたら、坊ちゃんは身体をビクつかせ落ちていった。
「え、何で……」
ったく、なんで落ちるんだ。
「おーい、大丈夫かあ?」
直ぐに返事があった。
「バカ骨っ、変なとこ触るんじゃない!」
「ここまで登って来いよ。」
暫らく待ってると登ってきた。
「で、俺が何処を触ったって?」
坊ちゃんは応える気が無いみたいだ。
「おい、お前が勝手に俺の肩に乗っかってきたんだぞ。」
「だから謝っただろ。」
「俺は、お前の足を持ち上げて退かそうとしただけだ。」
「それは分かるけど……」
「けど、って何だ?」
「うー……」
「おい、何を呻ってるんだ?」
「人の足やケツを触るなって言ってんだ!」
「はあ? あの状態で何処を触れってんだ。お前は動こうとしなかっただろ!」
「分かって無いのか?」
「何が?」
「本当に、分かって無い?」
「くどい。俺が何処を触っ」
「だから、俺のチンコを触るなって言ってんだよっ。バカ骨!」
「は? チン」
俺は、そう言われて、やっと分かった。
坊ちゃんは登り出そうとしている。
「とっとと登るぞ。」
そう言いながらでも坊ちゃんは待ってくれているので、言ってやる。
「自意識過剰な奴だな。そんな事を思ってると、また落ちるぞ。」
「あんたが助けてくれるんだろ。」
「どうしようかなー」