いきなり大声が聞こえた。と思ったら、Mr.Tが猛スピードで落ちてきた。
「っ……」
「あっぶねえ……」
「良かったあ……」
Mr.Tの声が聞こえてきた。
「た、助かったのか……」
「そうだよ。しっかし落ちてくるスピードが速いし強いな。」
「サンキュ、助かっ」
と言いかけた時に、言葉を付け加えてきた。それは俺に向かっての言葉だ。
「ありがとうございます。」
「助かって良かったよ。君は一番の働き者だからな。」
「そう言われると恐縮です。」
その言葉に安堵したのか、Mr.Aと俺の片手で腕を掴まれ、下からは坊ちゃんが腰を支えてる状態に気が付き、皆に言葉を掛けている。
「ありがとうございます。もう大丈夫です。」
そう言うと3人の手から離れ、大きく3回転して崖石を掴み体制を整えた。
「いきなり声がしたんだ。”それで隠れてるつもりか”と。」
「誰に?」
「分からない。だけど、座っていた木が急に消えて落ちたんだ。まるで、誰かに引っ張り上げられて突き落とされたかのように……」
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫です。ちょっと水分補給させて下さい。」
「どうぞ。」
二口飲むと気が楽になったみたいだ。
すると再び、叫び声が聞こえてきた。
「うわあー……」
その叫び声に反応したのはMr.Aだ。
「どうしたっ」
だけど、中々落ちてこない。
「あれ、落ちてこない?」
「しがみ付いてるのか?」
「どうしたのだろう?」
皆の声に対して、坊ちゃんはこうだった。
「違う。」
「何が?」
「何かが居る。」
「だから、何が?」
「これは何だろう。何か変な感じだ。」
切羽詰まった時なのに、気になり聞いていた。坊ちゃんの首に掛かっているクリスタルペンダントが輝いてるからだ。
これは水に反応するんですと返事が来たが、その後の説明を聞いても何の事か分からない。
そんな時、山登りの恰好をしている3人の男に声を掛けられた。
Mr.Aは、その人の言葉に反応していた。
「あいつが奥に居る何かを見てる物に向かってだろ」
そう言うと、走り出した。
気が付くのが一瞬遅れた違う男は声を掛けている。
「待って!」
「煩いっ、あいつは俺の宝物なんだ。囮にすんじゃねえっ!」
「囮じゃなく、君っ」
Mr.Aは大声を出して駆け登って行った。
「待ってろっ! すぐ行くからなっ」
そして、皆して2人の男に禁蹴りを食らわしてMr.Aの後を追いかけて登っていった。