いた、あそこだ。
そこを目掛けて飛び込む。
Mr.Sは驚きで目をまん丸くしているのか、俺たちを見ると益々大きくなっている。
「え、た、たか、って、ひろ、ぼっちゃ……、とねまで? あ、ありがとう。」
名前が出たのでMr呼びは止めて、そのタカ&ヒロ&坊ちゃん&トネで、ここからは改名する。
そんな時、声が聞こえてきた。
”5人か。忌々しい数字だこと”
その言葉に、それぞれが口にしていた。
「何だこれ」とは、ヒロ。
「龍だよ」と答えたのは、Mr.Sことヨシ。
「小さいな」とは、トネこと俺。
「生まれたてみたいな感じだな」とは、タカ。
「こんな小さい龍がいるんだね」とは、坊ちゃんだ。
龍が声を掛けてくる。
”アクアマリン、それを寄越せ”
「アクアマリンって何?」
”くぅ、力が出ない…”
「力が出ない時は何か食べないと出ないよ。えっとね、蜜柑を食べるかなあ」
そう言いながら坊ちゃんは近付いていく。
5つの声が重なる。
”お前を”
「このバカボンッ」
「寄るなってんだろ」
「近付いたら駄目っ」
「狙われてるの分からないのかっ」
と皆の声が重なった為、皆の声は耳に届いてなかったみたいだ。その証拠に、坊ちゃんが反応したのは一つの言葉だけだった。
「バカボンって誰の事だよっ」
「お前だ。ボンボンとバカをくっつけりゃバカボンだろうが。」
「ボンボンって何だよっ」
「お坊ちゃんはボンボンだろうが。」
そんな2人を見て、3人は和んでいた。
「うーむ、見事な掛け合いだな。」
「漫才カップル誕生か。」
「いつの間に仲良くなったんだろ……」
でも、寒いな。
そう思った時、一斉にくしゃみしていた。
「クシャンッ」
「ハクションッ」
「なんか寒い?」
「夜だからかなあ……」
「少し肌寒いだけだ。ほら、来い。」
と、無理矢理肩にシャツを羽織られた坊ちゃんは戸惑っている。
「え、何……」
「お前に風邪引かれると、こっちが困る。」
「どういう意味?」
「勝手に人の腕を枕代わりにしてくれたんだから、もっと貸しつけてやる。」
その言葉に3人は吹き出した。
「今、何て……」と、盛大に吹き出したヨシ。
「え、トネの?」と、真っ青な顔になったヒロ。
「腕枕って……」と、これまた真っ青な顔になったタカ。
「気持ち良くて、ぐっすりと寝てましたけど。」と、丁寧に返す坊ちゃん。
「これで貸しいくつだ」と確認の為に聞くと、坊ちゃんは即答していた。
「4つです。」
でも、その龍に服を破られた坊ちゃんは、その場所から動けないでいた。
そんな時、禁蹴りを食らわしてやった男から声を掛けられた。
しかも金色の武器を目の前にジャラジャラと置いてくれる。
「あいつを助けるなら、この世界の武器で戦うんだな」
4人はその武器の中から得意な物を選び、手に取っていく。
ヒロは神剣。
ヨシは弓矢。
タカはフェンシング。
そして俺はナイフ付きのナックルを見つけ、拳に嵌める。
お助け隊なのか、もう1人は短剣を選び取ると構えた。