坊ちゃんの首に掛かっているペンダントが欲しいのかと見た、お助け隊の人から外すように言われた坊ちゃんは、目の前に立ってるヨシにペンダントを渡す。
そのペンダントの行方を龍は視線で追う。
ペンダントを受け取った人は声を大にして叫でくる。
「皆して撃て、放て、拳を見舞わせろ!」
それを合図に、真っ先にヨシは弓を構え矢を放つが掠った。
「下手くそ。それでも弓道部長かよ。」
「そういう自分はどうなんだよ。剣はバッドじゃありません。万年野球少年が。」
「へえ。ヨシは弓道してたんだ。カッコいいねえ。ヒロ君、剣は、こう構える物です。」
トウッ!
学生時代、フェンシングサークルに入っていたタカは一突きした。
手応えあり。
”おのれぇ……”
格好よかったので、思わず褒め言葉が出ていた。
「それはフェンシングか。さすがタカだな。フェンシングってヨーロッパでは主流な物だよな。俺は、やっぱりこれだな。」
ナイフ付きのナックルを嵌めた拳を数発ぶち込む。ついでにキックも。
手応えあった。
”このぉ…”
皆は感嘆の声を出してくる。
「おおー!」
「さすがトネだな。」
ヨシは最初の1本目は掠ったが、2本目からは当てにいくが跳ね返される。
「ああ、見えない鎧を付けてるのか。それなら……」
そう呟くと、ヨシは少し高めの位置に的をすえ放った。
”ギャーッ”
そう叫ぶと振動で足元が揺れ、その拍子に坊ちゃんは倒れた。
「ヨシ、お前何を」
「今の内だっ」
タカと俺が躍り出た。
短剣の人も負けじと短剣を繰り出す。
「坊ちゃん、坊ちゃん。」
ヨシはペチペチと坊ちゃんの頬を叩くが何も反応がない。そのヨシにヒロは声を掛ける。
「そのまま坊ちゃんを安全な場所に連れて行け。」
「それって、何処よ?」
「え、ど、何処って。そういえば、ここって崖の上だ。」
迷っていたら声が掛かった。
「こっちに渡して。」
その声の持ち主に素直に渡した。
”待て、アクアマリンを返せっ”
力が出ない。これっぽっちの気では何も出来ない。
そう思った龍は行動に出ていた。
直ぐ近くに居た奴を目掛けてシュッと空を切ると、何か自分のではない血が付着する。
途端にトネが倒れた。
「つっ……」
”これだけか。仕方ない。人間どもよ、吾の力を見くびるなっ!”
「だから言ってるだろっ。すでに掴まえてるって」