また違う声が掛かる。
「時間稼ぎありがとう。お蔭で、今迄に無く楽に掴まえることが出来た。」
「え、何……」
「良いか。5人共伏せろっ!」
その言葉に身体を伏せると物凄く眩しい金色が差し込んできて、金一色になり明るくなった。
”な……、なんだこれは!”
余りにも強い金色に馴染めないでいた。そう思ってると、これまた強烈な2回目がきた。しかも今度は不思議な色合い、これはどこかで出会った感じの光線だ。
”これは……”
金と不思議な色の光線を浴びたら頭の中に2つの声が届く。
”伏せろ!”
”お願い、顔を後ろに”
すると明るく強い眩いけれど優しいオレンジ色の光が、暗く曇った空気に一筋の光の様に差し込んでくる。
叫ぶことも出来なかった。
両親の声が聞こえてくる。
”ああ、人間にやられるだなんて……”
”戦えるのは、まだまだ先だ。“
その色が消えると反撃してやる。そう思い、口を開けたが何も出来ないでいた。お父さんの声が聞こえたからだ。そうだ、まだ500歳になってない。
”最初の金一色が効いたな。”
どういう意味だろう。
そんな時、誰かが吾から1mの距離になるまで近付いてくる。
「思った通りだ。最初の水だけで他は何も口にしてないな。」
「火を噴きたいか? ほらよ、これ食え。」
やっと自分の周りに気が付いたのか、僅かに首を横に揺らす。途端に視界に入ってきた物に釘付けになる。
”あれはっ!”
”なぜ、人間が……”
”貴様、いつの間に”
「とっとと食えっ」
口の中に投げ入れられてしまった。
私室の絵画の裏に隠していた、自分を唯一縛るもの。目の前の人間に気を取られ、気付かなかった。
”私は龍王だっ”
その思いで赤ん坊サイズの幼い龍は肉体を呼び成龍になった。
”アクアマリン、貴様を貰う”
だが、そのアクアマリンには手が届かない。