翼が生えてこないのはどうしてだ。お父さんの力も借りてるというのに、何故なんだ。
人間は声を掛けてくる。
「尻尾も動かないし肝心の羽が生えてこないよなあ。大人しく、この中に入るんだな。」
そう言うと、ベッドのマットレスの下に隠されていた物を見せてくる。
”それは……、貴様っ”
「今回で、あんたは居なくなる。この中に入れて封印してやる。」
”貴様……”
「その後、銃で撃つんだっけ?」
お父さんとお母さんの声が聞こえてくる。
”何故、人間がその様な事を知ってるんだ。”
”さあ?”
”吾には効かない。それに羽ではなく、翼だ。”
「おや、そうかい。」
ズキューンッ!と、銃、独特の金属音が聞こえてきた。
”そんなチャチな物で、どこを撃ってるんだ?”
「当たらないな。40年やって無いんだ、勘が鈍ったかも。相手は大きいから大丈夫だろうと思っていたが、鈍りも大鈍りだな。」
ニヤリとほくそ笑み、チャチな物を持っている人間に対象を変えた。
”全然当たらないな。”
「なんだ、そこから動かないのか。」
その人間は弾倉を取り換え、構え撃ってくる。
”掠りもしないな。”
「掠ったけど不感症か?」
”何?”
「他の奴等との攻防で感じてないのか。それは良かった。」
そう言うと、銃を構え直し弾倉を空になるまで撃ってくる。
”だから当りも掠りも……”
いや、下腹部の下が熱い。
何だこれは、何か変な感じだ。
まるで交尾をしたい感じだ。
”貴様、何をした!”
「皆が皆、同じ所に当てるとは限らんぞ。」
”うぅ……、くそぉ、そんな物で”
「まだ分かって無いのか。ほら見てみろよ。」
高い位置に弾倉を掲げてくる。
真っ先に声を出したのはお父さんだ。
”あれは、人間界の物だっ”
”そんな、どうして……”
”それはっ”