お母さんの言葉はこれだった。
”お父さんの言う通りよ。今は眠りなさい。宮殿の中に御守りを入れてあげてるから、それは貴方を護ってくれる。いい子だから、ね。”
”お母さん……”
”ああ、そうだわ。子守唄を歌ってあげるわ。いつも歌ってあげてる、あの歌をね。”
そう言うと歌いだした。
すると、その場に居た他の龍たちも寝てしまった。皆が寝静まったのを見計らって、母龍は呟いていた。
”でも、これっきりは寂しいわ。これから50年に一度で良いから、お母さんに貴方の成長した姿を見せて頂戴。”
そう言うと、その母龍は崖の中腹にあたる部分に小屋を作り、水が滲み出てくるのを利用して5杯の杯を作り置いた。
それは1杯につき10年経つと、もう1杯の杯に水が入るというシステムで、5杯とも満杯になると眠りから覚めて、真っ先に水を飲み完全に眠りから覚めるというものだ。
そして、近場に澄んだ水と目覚めた時の食糧がある様にと水場を作る。
頬擦りは出来ないが、その寝顔に微笑を向け声を掛けてやる。
”可愛い私の幼き子よ。50年後、会いましょう。”
後ろを振り向くと、まだ寝ている龍たちに怒りを込めて雷を落としてやる。
何人かの呻き声が聞こえてくる。
”うぅ……”
”背中がプスプスいってる気がする……”
”同じく……”
“熱い……”
その連中に言ってやる。
”ほらほら、いつまで寝てるの。貴方たち、帰るわよ。”
その言葉に、夫も文句を言ってくる。
”起こし方を考えてくれ。”
”あらぁ、ごめんあそばせ。”