50年後、親と対面しすると、そこから出れるみたいで、親が手伝ってくれた。
地割れを起こして、その反動で近くにある水が溢れだし、その水を被る。50年に一度の風呂だ。
目の前に広がる大量の水を目にした僕は、歩けることが嬉しくてズシンズシンと地面を歩き水に浸かる。その水に身体を浮かべ、親子3人でぶるぶると身体を振るわす。
”ああ、良い気持ちだ。”
”しょっぱいけど、たくさんあるから大丈夫ね。”
”どうして、しょっぱいの?”
”この水は海水と言って、ポセイドンの管理している水域よ。ありがたいわねえ。”
”ポセイドンって、海の王のポセイドンだね。”
”そうよ。神界には出入り出来ないけれど、海の王からも同じ様に言われると、私たち龍は何処にも行けなくなる。”
”そんな……”
”肝に命じなさい。自分のやった事を忘れないで。”
”はい。ごめんなさい。”
その後、2人の背に乗って空高く飛び、自分の居場所を知った。
キラキラと光り輝く宮殿を初めて見た。
”綺麗だあー”
”そうね。宝物を持って来たから置いておくわね。”
”ありがとう。”
3人で空を駆けていたら、お父さんの声が聞こえてくる。
”そろそろ戻らないと。”
”もう、そんな時間なのね。”
”あっという間だな。”
”私の幼き子よ。50年後、また会いましょう。”
そう言うと、振り落とされた。
”だからって、こんなの”
文句を言いたかったのに、お母さんは遮ってくれる。
”貴方は龍よ。飛べるのよ。でも翼は生えないわね。新鮮な生き物を食らいなさい。そうすれば50年後は翼が生えるでしょう。”
”どんな生き物なの?”
”ここの土地に生きてる物。動物に、水に住む生き物。でないと火も噴けないわよ。”
”火も噴けるの?”
興味津々になり聞いていたら、お父さんが答えてくれる。
”火を噴けるようになるのは、もっと大きくなってからだ。”
”はい、楽しみにします。”
それには、もっと寝る事が大切だと言ってくれた。
お母さんは、今回も子守唄を歌ってくれた。
気が付くと、いつもの所に居た。うとうとと微睡み眠るを繰り返す日々が再度、訪れた。
それから50年後、また親と会った。
前回同様、地割れを起こし水浴びして身体に付いた土砂を流す。
3人で空を飛び、話をしたりと楽しんでいた。
すると、いきなり突き落とされた。
”何をっ”
”あら、可愛い翼だこと。”
”え、翼?”
今度は、お父さんだ。
”あと50年経つと、もっと大きい翼になるだろうな。”
”だからって、いきなり落とさないでね。”
”はははっ”
と笑ってくれるが、お父さんは一言だった。
”可愛い子は落とせと言うからなあ。”
その言葉に、思わず睨んでいた。
50年毎に会う度、4回目ともなると大きく立派な翼が生えた。
”一緒に飛び回りましょう。”
”うん!”
初めて1人で天空を飛んだ。怖かったけど、2人が居てくれるので安心して駆け回っていた。
爽快感があった。
5回目になると自信が付いたので、3人で一緒に駆け巡り自由に飛べるようになった。
だから言っていた。
”このまま帰りたい。”
”駄目よ。まだ皆の怒りは収まって無いの。”
”でも”
お父さんが返してくれる。
”あと50年待て。”
”どうして50年なの?”
”お母さんの気持ちを無駄にしないで欲しい。皆に黙って来てたのだが……”
すると、お父さんは黙ってしまった。
”お父さん、どうしたの?”
”もう、ここに来ることは無い。”
”どうして?”
”いいか、お前だけは生きろ。”
”意味が分からないよ。”
すると、お父さんはヒュンッと物凄い速さで空高く飛び、何処かへ行こうとしている。その姿を追う様に”待てー”、”裏切り者ー”と、たくさんの声が聞こえてきた。