お母さんに言っていた。
”お父さんを助けに”
だがビシッと音が聞こえた。
”ごめんね。いつもは子守唄で寝させていたのだけど、今回は幽体離脱させて貰った。この本体は徐々に朽ちていく。でも、貴方は生きる。”
”お母さん。僕は、どうなったの?”
”50年後、もう一度目覚めると、貴方の身体は子供の身体から大人の身体になる。お父さんよりも素敵な龍になるでしょうね。”
”お母さん、僕は”
”一度しか言わないからね。”
”う、うん。”
”貴方は神龍になったの。魂だけで、これからは生きていくの。”
”え?”
”でも、本体を動かす事は出来ない。”
どういう意味なのか分からなくて黙っていた。いつの間にか、お母さんも僕と同じ小さい身体になっている。
宮殿の中に入ると、母は色々と何かをしていってる。
”お母さん……”
”いい事。これは、貴方を縛る物。隠し持っておきなさい。この絵画の裏に置いとくわね。それと、いつか渡した御守り。あれに金粉を入れておけば強力な御守りになる。”
”金粉って”
”大丈夫よ。お母さんのを入れてあげるから。”
お母さんの口から噴き出てきた物は、金一色の物。
”ここは風呂にすると良い。疲れも取れてリフレッシュ出来るわよ。”
”ありがとう。”
宮殿の中に宝物殿や武器庫も作ってくれると、色々な武器や宝物類も出してくれる。
すると、急に立ち止まった。
”お母さん、どうしたの?”
何も返事がないので、もう一度、声を掛ける。
”お母さん? ねえ、どうしたの?”
暫らく待ってると、やっと声が返ってきた。
”こっちへ。”
そう言うと、下へと降りていく。ついでにと言って、もう一つ武器庫を作ってくれた。
”お母さん、どこに行くの?”
お母さんの返事は無く、何処かに着いたみたいだ。そこに在るものに気が付いた。これは何だろうと触ってみる。
お母さんの声が聞こえてきた。
”これは、貴方の姿よ。”
”姿って?”
”貴方の本体、肉体よ。”
”え……”
すると、とんでもない事を言ってきた。
”私を食べて。”
”どうして?”
”もう、これっきり会えないから。”
”どうしてなの?”
お母さんは悲しそうな表情をしている事に気が付いた。
”お母さん”
”お父さんが……”
”うん?”
”お父さんが死んだの……”
”死んだって、どういう意味?”
その問いに答えてくれなかった。
”強い奴を食らうと、その力は自分の物になる。お父さんの肉体を食らった奴等は…、あの連中は一層強くなった。貴方だけでも生きてね。”
”お母さん、意味が分からないのだけど”
そう返すと、お母さんは微笑んでくれた。
”分からない方が良いのよ。”
そう言うと、お母さんは元の龍の姿に戻ると、勝手に僕の口をこじ開け牙を出し、その牙の下に頭を突っ込んだ。
”さようなら。”
どういう意味なのか分からず聞こうとしたら、僕の肉体の口は閉じられ牙からは赤い物が流れていた。
”お母さん?”
何故だが叫んでいた。
”あ……、あああ――――っ”